落合陽一の魔法

「現代の魔法使い」こと落合陽一さん*1(以後、敬称略)の『魔法の世紀』という本を読んだ。最近読んだ本の中でもかなり面白かったので、感想を書いてみようと思う。あくまで個人の見解で、本の内容はあまり書いていない。

落合陽一の魔法とは、「拡張」である

浅い理解かもしれないが、簡単にまとめるとこの一言につきる。

コンピュータとインターネットは人間の能力を「拡張」してきた。コンピュータがない、またはインターネットがない生活はもう誰も思い出せないのではないかと思うほど、この数十年で浸透した。しかしながら、今のコンピュータの限界が見えてきたことも事実である。現在のコンピュータのインターフェースは、パロアルト研究所で考えられた域を超えていないのではないだろうか。

 

「コンピュータはこの先どうなるのか」という問いに対する答えを彼は持っていると僕は思う。彼は多くの人が持っているコンピュータの概念を「拡張」し、コンピュータを意識させない世界がやってくることを見据えている。この本を読めば、どういう世界がやってくるのかという詳細な答えが読み取れるだろう。

 

本の中では彼のメディアアーティストとしての作品も紹介されている。彼の仕事を見れば、単なる思想家でも技術者でも、はたまた芸術家でもないことがわかる。というよりも、それらを全て包含する仕事をしていると思える。そのような職業を言語化して、「魔法使い」と表現することに面白さとすごさを感じた。現実を「拡張」し、新たな世界を垣間見せる仕事は確かに「魔法使い」のようだと言えるかもしれない。

 

本を読めば、彼の言う「魔法」だけでなく、コンピュータの歴史と背後にある思想を理解することができるだろう。以下の対談でも話されているが、この本は教科書としても使えるのではないかと思う。難しい単語を極力使わずに様々な概念と歴史を説明してくれている。

youtu.be

 

「拡張」というキーワードに戻ろう。彼の魔法は、物理世界にファンタジーを実装することで現実を「拡張」している。何年後に普及するのかはわからないが、現実を書き換えられる世界がやってくることは間違いない。ファンタジーに満ちた「魔法の世紀」がすぐそこまで来ている。気になる方は是非読んでみてほしい。

 

魔法の世紀

魔法の世紀